酸化防止剤が身体に与える影響をソムリエが解説
- sukunahikowine
- 10月8日
- 読了時間: 3分
更新日:5 日前
ビオワインやヴァン・ナチュールという言葉が、ワイン業界ではすっかり定着してきました。 ワインショップで働いていると、そうしたワインを探すお客様が多い印象を受けます。 しかし理由を伺うと、「体に悪そうだから」となんとなく避ける方が多いです。 では、本当に酸化防止剤は避けるべき存在なのでしょうか。

この記事を書いているの、京都府南部でワインショップをしています、スクナヒコワインの安田智貴です。元料理長でソムリエの資格を持っています。妻と子供2人の4人家族です^_^
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①そもそも亜硫酸塩ゼロのワインは存在しない
「酸化防止剤無添加」と表記されていても、実は亜硫酸塩(SO₂)がまったく含まれないワインは存在しません。 なぜなら、亜硫酸塩はぶどうが発酵する過程で自然に生成される物質だからです。 つまり、どんなに“無添加”を意識して選んでも、ワインを飲む以上、亜硫酸塩は必ず摂取しているということになります。
②ワイン中の亜硫酸塩はどのくらい?
厚生労働省は食品ごとに使用できる亜硫酸塩の上限を定めています。 例えば、ワインのお供として人気のドライフルーツには1kgあたり2.0gまで使用可能です。 一方、ワインは1kgあたり0.35gまでと、はるかに厳しい基準。 つまり、ワインで神経質になるよりも、着色料や保存料を多く含む食品を気にした方がよほど現実的なのです。
③「酸化防止剤で頭が痛くなる」は本当?

「酸化防止剤が入っていると頭痛がする」という声をよく聞きますが、科学的根拠はありません。 実際のところ、ワインによる頭痛の原因は明確に解明されていません。 現在有力視されているのは、熟成過程で起こるマロラクティック発酵による化学変化です。 この過程で生成される「チラミン」には血管を収縮させる作用があり、 一方でワインに含まれる「ヒスタミン」には血管を拡張させる作用があります。 この相反する働きが、頭痛を引き起こしているのではないかと考えられています。
④生産者が酸化防止剤を使う本当の理由

名前からして「酸化を防ぐため」と思われがちですが、 生産者が酸化防止剤(亜硫酸塩)を添加する本来の目的は、ワイン中の微生物の活動を抑制するためです。 ワインは火入れをしない“生きた”お酒。 発酵や熟成の過程で多くの微生物が関わりますが、これらが活発に動きすぎると、 「オフフレーバー」と呼ばれる不快な香りを生む原因になります。 そうした不要な変化を防ぎ、ワイン本来の風味を守るために、 造り手は慎重に酸化防止剤を使用しているのです。
⑤酸化防止剤は悪ではない

もちろん、摂りすぎれば体に負担を与える可能性はあります。 しかしワインにおける酸化防止剤の使用量は非常に厳しく制限されており、 健康被害を心配するレベルではありません。 むしろ、酸化防止剤をまったく使わないことでワインの品質が不安定になることもあります。 「ヴァン・ナチュールが好き」という価値観は素晴らしいですが、 必要以上に酸化防止剤を“悪者”扱いするのはナンセンスです。
まとめ
ワインは自然と人の技術で成り立つお酒です。 酸化防止剤を正しく理解すれば、造り手の意図やワインそのものの個性を、より深く味わうことができます。 「悪いもの」ではなく、「ワインを守る知恵」として受け止めてみてはいかがでしょうか。
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