木谷ワイン「デラウェア・ペティヤン 2024」をソムリエが徹底レビュー
- sukunahikowine
- 12月8日
- 読了時間: 5分
— 奈良の唯一のワイナリーが生む“ジューシーで妖艶な微発泡” —
この記事を書いているのは、京都府南部でワインショップを営む「スクナヒコワイン」店主の安田智貴です。元料理長でソムリエ資格を持ち、料理とワインの両面から“美味しい”をご提案しています。妻と子ども2人の4人家族で、家族と一緒に楽しめるワイン時間を大切にしています^_^
【目次】
1. 木谷ワインとは
木谷ワインは奈良県香芝市にある、県内唯一のワイナリー。
▶ 所在地：奈良県香芝市下田西3丁目219−1
醸造家の木谷一登氏は、銀行員からワイン造りの世界へ転身した異色の経歴を持ち、2018年にワイン用ブドウ農家として独立。
当時はワイナリーを借りて委託醸造をしていましたが、委託醸造時代から愛好家の間で高い評価を得ていました。
2022年に自社ワイナリーを設立し、本格的に醸造を開始しました。
木谷ワインの特徴は、以下の点に集約されます。
● 自然酵母（野生酵母）発酵
畑や果皮に存在する天然酵母だけで発酵を行い、“土地の個性＝テロワール” を素直に表現。
● 無農薬・減農薬栽培
化学農薬や除草剤を使わず、ブドウ本来の生命力を引き出す栽培を実践。
● 亜硫酸の使用を控えるナチュラル製法
必要最小限の介入で、ピュアで伸びやかなワインに仕上げています。
● 多様な醸造スタイル
手除梗
足踏み破砕
セミ・マセラシオンカルボニック
樽熟成
瓶内発酵など、多彩な技法を組み合わせ、“木谷ワインにしかない味” を目指しています。
● 奈良の土地を活かしたブドウ
巨峰（種あり）、デラウェア、マスカットベーリーA、メルローなど、奈良の地場品種を積極的に採用し、風土を映す味わいを追求。
● “飲み心地の良さ × 飲みごたえ” の両立
ナチュラルなのに薄くない、優しいのに物足りなくない。食事との相性が非常に良く、特に和食との組み合わせに定評があります。
奈良から新しいワイン文化を発信する、まさに“次世代の造り手”といえる存在です。
2. デラウェア・ペティヤン 2024 の概要
● 基本スペック
タイプ：白／微発泡（ペティヤン）
容量：750ml
アルコール度数：12.4%
品種：山形県産デラウェア
栓：王冠栓
亜硫酸：無添加
製法：自然発酵、スキンコンタクト、補糖あり（発泡のため）
● 山形の高品質ブドウとの出会い
2024年は、山形県の高橋さんとのご縁から、糖度20度を超える非常に成熟したデラウェア を使用。山形の冷涼な気候が生むしっかりとした酸もあり、木谷さん自身が驚くほどの高品質だったようです。
● あえて“スキンコンタクト”を採用
普段はデラウェアで行わない手法ですが、「熟した果皮から旨味を引き出したい」という意図で数時間のスキンコンタクトを実施。
その結果、
果皮由来のボリューム
ジューシーな果実味
わずかなタンニンのニュアンス
が感じられる、これまでにないタイプのデラウェアに仕上がりました。
● 補糖で微発泡に
瓶詰め前に補糖し、自然発酵によるガスで発泡性を持たせています。“微発泡のやさしさ” と “デラウェアの妖艶さ” が一体になった魅力的な造り。
3. テイスティングレビュー（実際に飲んでみた）
● 試飲温度：10℃（1日目）
王冠栓を開けた瞬間、ベッコウ飴のような香ばしく甘い香り。デラウェアの妖艶な香りと重なり、思わず深呼吸したくなるアロマです。
澱があるスタイルからか、動かしてはいなかったのですが吹きこぼれてしまいました。
温度が高かったかな？（木谷さんのワインのように旨味を強く感じ、雑味のないワインはしワインでも温度高めで飲むのが好きなんですよ。笑）
さらに公式情報にある：
パイン
和柑橘
りんご
奈良漬けのような発酵香
これらも感じられ、複雑なのに嫌味がなく、非常に心地よい香り。
口に含むと、
優しい微発泡
ジューシーな果実味
熟した果皮由来の旨味
わずかな甘み
キレのある酸
ボリューム感のある飲みごたえ
“飲み心地の良さ × しっかりした旨味” が両立された一本。
ナチュラルワインにありがちな“野生的なクセ”はなく、木谷さんの白ワインに感じる クリーンで透明な味わい がしっかり感じられます。
4. おすすめのペアリング
このワインは和食との相性が抜群。
◎ 白身魚・貝のお寿司
繊細な旨味とデラウェアの果実味が完璧に調和します。
◎ 山菜の天ぷら
ほろ苦さ × ジューシーな果実味＝最高の相性。
◎ 少し焦げ目を活かした料理
焼きの香りとスキンコンタクトの旨味が合わさり、驚くほど良いペアリングに。
◎ 生春巻き
アジア料理のハーブやソースとも相性抜群。
“食中酒としての性能が非常に高いペティヤン” です。
5. まとめ
木谷ワイン「デラウェア・ペティヤン 2024」は、奈良×山形の力が結集した、これまでにないタイプのペティヤンでした。
自然酵母・無農薬栽培
スキンコンタクトで引き出された複雑味
ジューシーで妖艶な香り
微発泡の飲み心地
和食と合わせてより輝く味わい
木谷ワインの “次のステージ” を感じる一本です。
ナチュラルワイン好きにも、日本ワインに興味がある方にも、強くおすすめしたい仕上がりでした。
ちょっとした贅沢をご家庭で。京都・城陽の小さなワインショップ「スクナヒコワイン」では、ナチュラルでクリーンな自然派ワインを中心にご紹介しています。日々の暮らしの中で、数千円で楽しめる“小さなご褒美”をお届けします。
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昨日丁度奈良の百貨店に行き、見てたワインです！買わなければ！