ボージョレーヌーヴォーが不味い理由と美味しく飲む方法をソムリエが解説!!
- sukunahikowine
- 11月20日
- 読了時間: 5分

11月の第3木曜日――。毎年ニュースにも取り上げられ、ちょっとしたお祭りのように盛り上がる「ボージョレーヌーヴォー」の解禁日。
その雰囲気に乗じて、
「久しぶりにワインでも飲んでみるか」「せっかくだし話題のヌーヴォーを買ってみよう」
と買ったはいいけれど……
思ったほど美味しくない……?
そんな経験をした方も多いはずです。
今回は、なぜボージョレーヌーヴォーが美味しく感じにくいのかそしてどうすれば美味しく飲めるのかを、ソムリエの視点でわかりやすく解説します。
この記事を書いているのは、京都府南部でワインショップを営む「スクナヒコワイン」店主の安田智貴です。元料理長でソムリエ資格を持ち、料理とワインの両面から“美味しい”をご提案しています。妻と子ども2人の4人家族で、家族と一緒に楽しめるワイン時間を大切にしています^_^
目次
そもそもボージョレーヌーヴォーとは
ボージョレーヌーヴォーの特徴
ボージョレーヌーヴォーとは、フランス・ブルゴーニュ地方南部のボージョレー地区で造られる その年の新酒 のことです。

一般的なワインとの大きな違いは 醸造方法。
ボージョレーヌーヴォーにはマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸潤法)という製法が使われます。
密閉タンクにブドウを潰さずそのまま入れ、炭酸ガスを充満させることで…
色素がやわらかく抽出される
渋み(タンニン)がほとんど出ない
キャンディーのような甘い香りが出る
数週間でワインが完成する
といった特徴があります。
熟成イメージの強いワインが“その年のうちに飲める”理由は、こうした 特殊な醸造方法で一気にワインを仕上げるため なのです。
解禁日が盛り上がるのは日本だけ
日本では1990年代、飲料メーカーや百貨店、レストランチェーンなどが一斉に解禁イベントを仕掛けたことで一大ブームに。
今では当時ほどのフィーバーはないにせよ、「解禁日=ちょっとしたイベント」という文化が定着しています。
一方で本場フランスでは…
盛り上がるのは“ボージョレー地区”が中心
パリや他地域ではそこまで話題にならない
世界的に見ても日本ほどのブームは起きていない
というのが実情です。
ボージョレーヌーヴォーは、日本のマーケティング文化が作った“季節のイベント” と言っても良いでしょう。
ボージョレーヌーヴォーが不味く感じる理由
① 輸送ダメージが大きい
ボージョレーヌーヴォーは、瓶詰めされた直後の“できたて状態”で日本に空輸されます。
そこからさらに、空港 → トラック輸送 → 倉庫 → 店頭と振動と温度変化のストレスを受け続けます。
ワインは非常にデリケートな飲み物。
👉 輸送直後は味が落ち着かず、雑味を感じやすい状態。
そのため、解禁日に飲むということは最もコンディションが悪い状態 で飲むことになります。
② “若すぎる”ため味がまとまっていない
いくら新酒とはいえ、ワインは 少し落ち着かせた方が美味しい飲み物 です。
ボージョレーヌーヴォーはできたてすぎるため…
香りが落ち着かない
キャンディー香が出すぎる
味わいが軽すぎる
酸味が尖っている
という状態のものも多いです。
ガメイ(ボージョレーのブドウ品種)は軽やかで繊細な味わいが特徴なので、輸送直後のストレス・熟成不足の影響をより感じやすいのです。
ボージョレーヌーヴォーを美味しく飲むには
① 解禁日に飲まず、年末年始まで寝かせる
これが最も効果的です。
ボージョレーヌーヴォーは1〜2ヶ月置くだけで…
香りが整う
味のトゲが消える
キャンディー香が和らぐ
旨味がふくらむ
など、驚くほどまろやかになります。
最低でも年末年始まで寝かせるのがおすすめ。
② セラーがある人は“翌年の解禁日”まで寝かせてもOK
特に3,000円以上のヌーヴォーは翌年まで置くとさらに美味しさが増すことがあります。
ガメイの繊細な酸が丸くなる
フレッシュさが落ち着き華やかになる
ジューシーさと旨味が合わさる
※ ただし温度管理ができない場合は年末年始で飲むのがおすすめ。
③ 軽く冷やして飲むと飲みやすい
ボージョレーヌーヴォーはもともとライトでフルーティーなワインなので、軽く冷やす(12〜14℃) と美味しさが増します。
赤ワインだから常温で……と思う必要はありません。
④ 合わせる料理を工夫する
相性の良い料理は…
唐揚げ
焼き鳥(タレ)
すき焼き
ハンバーグ
鍋物(寄せ鍋・しゃぶしゃぶなど)
甘辛いタレや油を使った料理と相性が抜群です。
まとめ
ボージョレーヌーヴォーが美味しくないと感じる理由は…
輸送直後でコンディションが悪い
若すぎて味がまとまっていない
解禁日文化が“早飲み”を促している
という3点が大きな要因です。
しかし、
ボージョレーヌーヴォーでも“寝かせれば美味しくなるワイン”。
最低でも年末年始、環境が整っていれば翌年まで寝かせることで本来の美味しさをしっかり味わえます。
解禁日に飲んで「あれ?」と思った方は、今年はぜひ “少し待って美味しくする” 楽しみ方を試してみてください。
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京都・城陽にある小さなワインショップ「スクナヒコワイン」では、ナチュラルでクリーンな味わいの自然派ワインを中心にご紹介しています。
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