家庭でのワインの保存方法|ソムリエが季節ごとに詳しく解説
- sukunahikowine
- 10月23日
- 読了時間: 4分
ワインは「保存が難しいお酒」とよく言われます。なんとなくそう感じている方も多いですが、実際にどんな環境でどのように保管すればいいのか、よく分からないですよね。
そこで今回は、家庭でもできるワインの正しい保存方法を、季節ごとに分けて分かりやすく解説します。ワインセラーがなくても、少し工夫するだけで驚くほど美味しさを長持ちさせることができます。

この記事を書いているの、京都府南部でワインショップをしています、スクナヒコワインの安田智貴です。元料理長でソムリエの資格を持っています。妻と子供2人の4人家族です^_^
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ワインセラーの効果と意義
ワインの保存で最も理想的なのは、もちろんワインセラーです。温度や湿度、光、振動といったワインにとって重要な環境を、最適な状態でキープしてくれます。
理想的なワインの保存条件
- 温度:10〜14℃ 
- 湿度:60〜70% 
- 光が当たらない 
- 振動が少ない静かな場所 
セラーはこれらをほぼ守ってくれるだけでなく、次のようなメリットもあります。
長期熟成ができる
冷蔵庫でも短期保存は可能ですが、温度が低すぎたり湿度が足りなかったりと、年単位の保存には不向きです。一方セラーなら温度・湿度の両方を一定に保てるため、ワインを数年単位で熟成させることが可能です。
リリース直後に手に入れたワインを熟成させて飲み頃を迎えたり、同じヴィンテージを1年ごとに開けて味の変化を楽しむ――。そんな“通”な楽しみ方もできるのが、セラーの魅力です。
気分が上がる最高のインテリア
ワインセラーは実用的でありながら、持っているだけで気分を高めてくれるアイテムでもあります。男性にとっての車や時計、女性にとってのブランドバッグのように、“持つ喜び”を感じられる道具です。
休日におつまみを用意し、セラーを開けてお気に入りの1本を選ぶ――。その瞬間は、ワイン好きにとって最高の時間です。
家庭でのワイン保存の大前提
セラーがないご家庭では、数ヶ月以内に飲むことを前提に考えましょう。そう聞くと少しネガティブに思うかもしれませんが、数ヶ月であれば冷蔵庫でも十分に美味しく保てます。
保存を考えるときの目安は「室温が14℃を超えるかどうか」。これを基準に、季節ごとに最適な保存方法を見ていきましょう。

春・夏・秋のワインの保存方法
春から秋にかけては、室温が高くなりやすいため、冷蔵庫での保存が基本になります。白ワインも赤ワインも冷蔵庫でOKです。
白ワインの場合
冷蔵庫の温度(約4℃)は少し低すぎるため、
- 春・秋は飲む3分前 
- 夏はグラスに注いでからすぐ 
このタイミングで冷蔵庫から出すと、ちょうど良い飲み頃になります。冷蔵庫より温度が高い「野菜室」は振動が多く、長期保存には不向きです。
赤ワインの場合
赤ワインも、気温が高い時期は冷蔵庫保存がおすすめ。
- 春・秋は飲む15分前 
- 夏は10分前 
を目安に冷蔵庫から出しましょう。温度が少し低い状態で飲み始めても、時間とともに香りが開き、味わいの変化を楽しめます。
冬のワインの保存方法
冬は、ワインにとって理想的な保存環境が自然に整う季節です。地域にもよりますが、最高気温10℃前後・最低気温が氷点下5℃以上であれば、暖房をつけていない廊下や玄関などが最適な保存場所になります。
赤ワインはもちろん、白ワインでも2,000円を超えるような上質なものは常温の方が美味しく感じられることも。冬は“家がそのままセラー”になる、ワイン好きにとって最高の季節です。
冷蔵庫で保存するときの4つの注意点
春〜秋にかけて冷蔵庫で保存する際には、以下のポイントを意識しましょう。特に自然派ワインなど酸化防止剤が少ないタイプは注意が必要です。
- 保存期間は最長3ヶ月まで 冷蔵庫は乾燥しやすく、長期間入れておくとコルクが痩せて空気が入り、ワインが劣化します。 
- できれば横向きに保存する コルクを常に湿らせておくために横置きがおすすめ。難しければ斜めでもOKです。 
- 匂いの強い食材と一緒に入れない キムチやニンニクなどの匂いが、長期間でワインに移ることがあります。保存場所は分けましょう。 
- 振動の少ない場所で保存する 熟成したワインなどは「澱(おり)」が舞うと味が乱れることがあります。冷蔵庫のドアポケットよりも、奥や下段が安心です。 

まとめ|無理のない方法でワインを美味しく保とう
ワインセラーは、温度も湿度も完璧に保てる理想の環境。そしてなにより“気分が上がる”最高のアイテムです。
ですが、セラーがなくても工夫次第で十分に美味しく保管できます。季節や家の環境に合わせて保存場所を変えながら、あなたの暮らしに合ったスタイルでワインを楽しんでください。




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