|ソムリエが解説|イリア・オテロ・マソイ〜商業的には不利でもその土地の伝統にこだわる女性醸造家〜
- sukunahikowine
- 2 日前
- 読了時間: 6分
本日のワイン
スペインガリシア地方のイリア・オテロ・マソイが作る「SHIRO KUMA」 なぜシロクマという名前なのか全く情報が出ていない謎ワインです。

この記事を書いているのは、京都府城陽市でワインショップを営む「スクナヒコワイン」店主の安田智貴です。
元料理人であり、ソムリエでもある私が家庭でのちょっとした贅沢をお届けしています。
家では妻と子ども2人に囲まれる4人家族。毎日体力お化けの子供達に振り回されヘトヘトになっています。^_^
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イリア・オテロ・マソイ~スペインのセンスが光る女性醸造家~
今回の生産者、イリア・オテロ・マソイは代々続くワイナリー・・・ とかではなく、ごく普通の一般家庭で育った女性です。

幼い頃から必ず食卓にはお父さんが選んだ美味しいワインが並び、それを美味しそうに、楽しそうに飲む両親を見てきたそうです。
大学では最初こそ薬学科を専攻していましたが、途中から醸造学を専攻。 「早くワイン造りに携わりたい。」この一心でなんと在学中からワイナリーに就職したそうです。
これだけでもすごいのですが、なんと数年後に醸造長まで出世します。 (ワインよりも爪の垢を煎じて飲むために売って欲しい・・・)
その後いくつかのワイナリーで経験を積んだ後、2015年に自身のワイナリーを立ち上げます。
彼女の作るワインを見るとある事に気が付きます。 それは、ブレンドされているワインが多い、という事です。
これには彼女の「リベイロ地方の昔ながらのスタイルを表現したい。単一ブドウでワインを造る事でなく、土着品種のブレンドスタイルこそがリベイロで昔から行われてきた伝統あるワイン造りだ」という強いこだわりがあります。
実はこのスタイルは商業上非常に不利な考えです。 スペインのワインはDO(原産地呼称)を取得すると格付けされた状態になり、セールス上売りやすくなります。
しかし、そのDO取得にこだわらず白と黒ブドウもブレンドする。それが彼女の考えです。
亜硫酸アレルギーが作るワイン
実は彼女は大の亜硫酸アレルギーだそうです。
亜硫酸の入っているワインは試飲も含め大の苦手。
もちろん醸造中のワインの状態を見極めながらですが、瓶詰めまでは基本的には亜硫酸を添加しません(醸造中、彼女が試飲できるためでもあるそうです)。
瓶詰め前に極少量の亜硫酸を添加して瓶詰めするワインがほとんどです。
また、自社畑が小さいため契約農家からブドウを買っています。 気候的特徴で湿度が高い為、完全なビオで育てることが難しい地域でもあります。
しかし、農薬等はブドウが病気になりそうな時に最低限使うだけで、その他の殺虫剤、除草剤、化学肥料は使用せずに丁寧なブドウ栽培を行う栽培専業農家のみを厳選して契約しています。

イリアのワインは、畑の特徴やガリシアの自然をナチュラルに表現しながらも、確かな技術と経験に支えられたクオリティーの高さと際立ったキャラクターを併せ持っています。
これは彼女自身の性格と先述したバックグラウンドからきているのでしょう。
明確な目標設定とそれに向かって突き進む強い意志をもち、スペインでも数少ない叩き上げの女性醸造家の道を歩いてきました。
自宅ボデガの2Fは住居となっており、旦那さんと3人の子供たちの妻であり母でもある彼女。小学生のお子さんは今がわんぱく盛りだそうで、やはり家庭に戻った彼女の表情は畑やワイナリーとは違い幸せに満ちた温かい雰囲気だそうです。
テイスティング
彼女の作るワインはそのほとんどがサンスフル(亜硫酸無添加)で作られています。
正直私は亜硫酸無添加のワインは身構えてしまいます・・・。

なぜかというと、オフフレーバーが出ていてどうしても受け付けられない香りがすることがあるからです。
この「SHIRO KUMA」も抜栓したては正直オフフレーバーがきつかったです。
腐った野菜のような匂いが鼻について飲む気にはなれませんでした。
ですが、こういった香りは還元香(かんげんこう)と言い、空気と触れさせる事で無くなる香りでもあります。 なのでスワリングして10分ほど置いてから飲むことにしました。
すると嫌な匂いは和らぎ、このワイン本来の香りであろうハーブや青い柑橘、どこか潮っぽい香りを感じることができました。
目を瞑って香りを嗅ぐときっと脳内では大西洋に佇んでいると思います。
嫌な匂いがなくなって本当によかったです。笑

口に含んだ味わいも香りの印象に忠実で、柑橘の皮のような苦味も感じ取れる柑橘系の爽や
かな味わいです。
こういう苦味はワイン単体で飲むとありがたさが分かりませんが、食事と合わせるとこの苦味で口の中がリセットされて、次の一口も美味しく食べられるという効果があります。
ワイン単体でも十分に美味しく魅力的ですが、食事と合わせることによって本領を発揮するタイプですね。
果実味はジューシーで飲み込んだ後にジワーッとくる旨味もすごいです。 ミネラル感も強く、やはり魚介と合わせたくなるワインです。
合わせる料理
このワインを飲むと無性に白身魚のカルパッチョが食べたくなります。
タイやヒラメ、スズキをスライスして、塩とレモン汁、オリーブオイルで味付け。上にはトマト、茗荷、しそ、仕上げにレモンの皮を少し。

このワインとこんな料理を合わせられたらもう勝ち組ですね・・・。
あと、意外とボリューミーなので鶏胸肉の塩唐揚げも合わせられそうです。
まとめ
抜栓直後はオフフレーバーが鼻につく嫌な感じでしたが、少し経つとニオイもなくなりとても美味しく飲むことができました。
完全なビオではない、とありますが飲んだ感じ嫌な雑味はなく、商業的ビオワインよりもクリアーでナチュラルな味わいです。
良いワインの奥には必ず物語があります。 イリアの物語も込みでこのワインを是非お楽しみください!!
自然派ワイン好きにはもちろん、あまり自然派ワインを飲んだことが無い方にも入口として飲んでみて欲しいワインです。
ちょっとした贅沢をご家庭で。京都・城陽の小さなワインショップ「スクナヒコワイン」では、ナチュラルでクリーンな自然派ワインを中心にご紹介しています。日々の暮らしの中で、数千円で楽しめる“小さなご褒美”をお届けします。
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